もう死んでよ。
これで終わりね、さよなら。
分かってるの･･･悪いのは私
･･･嫌い、みんな、嫌い。
第四戦
いろは
次のお相手の方は貴方様で･･････
うわっ、えーっと･･････困りました。
何と申しましょうか、
どうかひとつ、お手柔らかに･･････。
真鏡名ミナ
そう、あなた･･････気にしないで。
確かに私は妖滅師だけど、
それであなたを
どうにかする気はないから･･････。
いろは
わぁ、妖滅師さんはいい人ですね！
お友達になりましょう！
あ、でも、私、
旦那様のためにも勝ちますよ！
真鏡名ミナ
･･････それは、困る。
戦いなんて、面倒くさいのに･･････。
立ち合い後
真鏡名ミナ
･･････咎める気はないけど、
あまり人前に出ない方がいい。
あなたのためよ。
いろは
うぅ〜
旦那様、申し訳ございません。
無残にも負けてしまいました･･････。
弓は苦手です･･････天敵です･･････。
真鏡名ミナ
･･････聞いてない。
もういい。
―――行こう、チャンプル。
決勝戦
妖怪腐れ外道
でめぇ、ずげぇ、うまぞうだぁ〜。
いいにおいだなぁ〜
はぁ･･････はぁ･･････ぎゃっひゃあ！
真鏡名ミナ
人の心が失われた
欲望だけの存在･･････。
･･････酷い、何て深い業。
肉親まで手にかけたのね･･････。
妖怪腐れ外道
はぁ･･････はぁ･･････はあぁぁあぁ！！
たまんねえだあ！ ぐひゃあっ！
もう！ もうがまんでぎねえだあ！
真鏡名ミナ
妖滅師として、あなたを滅する。
―――現世に彷徨いしあやかしよ。
破魔の弓にて幽世に帰せ！
立ち合い後
真鏡名ミナ
まだ滅せない？
現世にしがみつく
この異様な執着心の強さは･･････
何の未練が一体そうさせるの･･････？
妖怪腐れ外道
ぐいでぇ･･････。はらへっだ･･････。
でめぇ、ぐわぜろぉ〜。
はぁ･･････はぁ･･････はあぁぁ･･････。
真鏡名ミナ
私の役割だものね。
最後まで、やらないと･･････ね。
―――さよなら。
―――この邪気は？ 誰っ！？
血戦
凶禍まといし
業深き罪人を滅するは我が宿命。
―――現世に彷徨いしあやかしよ、
破魔の弓にて幽世に帰せ！
真鏡名ミナ
これでおしまい。
もう私に関わらないで。
私のことはほっといて･･････。
･･････チャンプル？ どこ？
チャンプル
はーやー。
とー。
ミナー、 ミナー。
真鏡名ミナ
チャンプル･･････？ どうしたの？
徳川慶寅
そんなに露骨に
嫌な目で見ないでくれよ。
流石にちょっと傷ついちまうぜ？
そいつに頼まれたんだよ。
―――アンタの父親の行方、探せって
御前試合の勝者の
望みを叶えるって約束だからな。
ま、任せな。必ずみつけてやるぜ？
ご老人
おや、こんなところには
似つかわしくない
可愛らしいお嬢ちゃんじゃな。
何か、探し物でも？
真鏡名ミナ
（来たくて来たんじゃない･･････。
お母さんと私を捨てた憎い奴･･････
もう死んでた･･････くだらない･･････）
ご老人
お嬢ちゃん、もしかして･･････
おお、そうかそうか、墓参りかね？
そりゃあ、こいつも喜ぶだろうねぇ
こいつはね、ワシの一族の者でね。
正義感が強く、思いやりがあって、
ずっと他人の為に尽くす、
損な生き方に誇りを持っていたよ。
どうやら、村の外で
恋をしたみたいでね、最後まで
その人のことを想ってたよ。
子供もいるって、泣いてたね･･････。
真鏡名ミナ
･･･････････････････。
そんなこと、しらない･･････。
チャンプル
ミナ、ミナー･･････。
ご老人
お嬢ちゃん、ミナって名前かい？
「ミナ」って言うのはね、
ワシらの言葉で
「笑う」って意味なんじゃよ。
素敵な名前だねぇ。もしも、
こいつの子供がお嬢ちゃんみたいな
可愛らしい子だったら
自然に還ったこいつも幸せだね･･････
ワシはもう帰るけれど、
何かの縁じゃね。折角だから、
花のひとつも捧げておくれよ。
･･････それじゃあね。
真鏡名ミナ
･･････こんなの、知らない。
きいてない･･････わからないよ･･････。
今さら「ミナ」だなんて･･････
そんなの、
笑えない･･････笑えないよ･･････。
チャンプル
ミナ･･････ミナ･･････。
･･････あれ？
空が･･････にじんでるよ･･････。
その後
チャンプルのミナを想う気持ちから
始まったこの偶然が、
彼女に与えた影響は計り知れない。
止まっていた時間が動き出す。
凍り付いていた心が溶け始める。
少しずつでもかまわない。
溢れそうになる涙をこらえて、
上を向いて歩いていこうと思う。
父親がくれた「ミナ」の名に相応しい。
本当の笑顔ができるときを夢見て―――。
そっとしといて欲しいのに･･････。
嫌な世の中ね･･････。
あなたの業は深すぎる。いずれ、破滅する。
･･････私が手を下す必要なんてない。
もう、全部、どうでもいい･･････。
嫌い！ きらい、キライ！ みんなみんな嫌い！
ただ一言だけ、いい・・・・・・？
――消えて。